こんにちは、講師のRitsukoです。

前回のスケール編では、長音階、短音階などの”基本の『キ』”をお話いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
音階は音の階段であり、「全音」「半音」などの組み合わせによって、何の音階か決まる!
というお話をしましたね。

【前回ブログ】音楽理論 基本の『キ』〜スケール編〜

中には「増2度」という単語も出てきました!
また、「ハ長調って何?」についてもご説明するお約束でしたね!

今回は、スケールにも密接に関わっている、「音程」「調」についての”基本の『キ』”を、解説していきましょう。

音程とは?

音程とは、簡単に言うと「2つの音の距離」の事です。
この距離の事を「全音」「半音」の他に「度」という単位を使って表します。

長3とか短3という言葉を聞いた事のある方も多いのではないでしょうか。

この度数は、音階に沿って増えていきます。
例えば、
「ド」と「ド」のような同じ音の距離を1度
「ド」と「レ」は2度
「ド」と「ミ」は3度
「ド」と「ファ」は4度‥‥
というように数えていきます。

あれ?じゃぁ、長3度とか短3度は何?

そうなんです。同じ度数でも、いろいろあるのです。

同音:完全1度
半音1つ分:1度 又は 2度
半音2つ分「全音」:2度
半音3つ分(ドとメの関係):3度 又は2度
半音4つ分(ドとミの関係):3度
半音5つ分(ドとファの関係):完全4度
半音6つ分(ドとフィの関係):4度又は5度
半音7つ分(ドとソの関係):完全5度
半音8つ分(ドとルの関係):5度又は6度
半音9つ分(ドとラの関係):6度
半音10分(ドとセの関係):7度
半音11分(ドとシの関係):7度
半音12分(ドとオクターブ上のドの関係):完全8度

完全、と色々ありますね・・。
音程も詳しく解説しだすと、それだけで頭の痛くなるような内容が理論本10ページくらいになったりします。
なのでこの基礎編では、最小限の事だけに触れたいと思います。

「◯度」の前に付く、完全、は響きの種類だと思ってください。
:明るめの響き
:暗めの響き
完全:同音などのピタッと重なる音や、固めの響き。
:完全音程を基準に半音上げたり下げたりする音程。独特な響き。

後々、コードの勉強の時によく使う音程は、長3度、短3度、完全5度、長7度、短7度です。
これらのそれぞれの音程の距離(半音いくつ分か)と響きを、実際に色々な音程で鳴らして意識してみると良いでしょう。

スケールと音程の関わりに少し話しを戻します。
長音階の音程ルール《全全半全全全半》で音を並べれば、「レ」から始めても、「ミ」から始めても、「ディ(ド♯)」から始めても、
聞き馴染みのある《ドレミファソラシド》に聞こえます。

それぞれの音源を聴いてみましょう。

「ド」から始めた場合
[player id=9934]

「レ」から始めた場合
[player id=9935]

「ミ」から始めた場合
[player id=9936]

「ディ(ド♯)」から始めた場合
[player id=9937]

このように、音階でもメロディでも音の距離(音程)が同じであれば、同じ音階、同じメロディになります。
変わったのは、調(Keyキー)なのです。

調(Key)って何?

カラオケで歌う時、高すぎたり低すぎたりする場合に、カラオケのキーを1つ2つ上げたり下げたりしますよね。
これは、調(Key)を変えているわけですが、音程はそのままで全体をそっくり上げたり下げたりスライドしてるのです。

例えば、「ドレミの歌」で説明すると、
「ド」から始まる長音階をベースにしているメロディはハ長調となります。
[player id=9924]

音名歌いすると「ドーレミードミードーミー」となります。

これを全音(長2度)上げ、
「レ」から始まる長音階をベースにしているメロディにするとニ長調となります。
[player id=9926]

これをハ長調からニ長調移調する」といいます。

音名歌いする場合:
・「レーミフィーレフィーレーフィー」と歌う方法、
つまりどの調でも「ド」の基準を変えない考え方を「固定ド」と言います。
・調が変わっても「ドーレミードミードーミー」と歌い、「ド」を基準の音に合わせて移動して歌う方法、
つまりどの調になっても同じ音名で歌う考え方を「移動ド」と言います。「ド」が調に合わせて移動するわけですね。

同様に、
「ミ」からはホ長調
[player id=9927]

「ファ」からはヘ長調
[player id=9928]

「ソ」からはト長調
[player id=9929]

「ラ」からはイ長調
[player id=9930]

「シ」からはロ長調
[player id=9931] となります。

移動ド歌いなら、どれも「ドーレミードミードーミー」です。

ちなみに、「ド」から始まる短音階をベースにしている曲は、ハ短調となります。
長調と短調を聴き比べられるように、「ドレミの歌」を短調で弾いてみました。
短調だと「ドレメの歌」になります。

「ドレメの歌」ハ短調
[player id=9932]

「ドレメの歌」ニ短調
[player id=9933]

ピアノはハ長調用の楽器

それでは、長音階や「ドレミの歌」などをピアノで弾く時、どの調で弾くのが一番簡単でしょうか?

そう!一番簡単なのはハ長調ですね。
それはなぜでしょう?

その答えは、白い鍵盤がハ長調で並んでいるからです。
もしも、歌う人が「ちょっとキーが低から1つ上げて歌いたい」と言ったとたん、ピアノの人は黒鍵だらけで急に難しくなり、さー大変です。

それもそのはず、ピアノはハ長調を基準にしたハ長調用鍵盤楽器だからです。
しかし、音楽はハ長調だけではありませんよね。
調は12もあります。ハ長調用楽器で他の調を弾くのが難しいのは当たり前なのです。

その壁を乗り越えるためにピアニスト達は、12個の音全てからの長音階だけでなく、短音階やアルペジオなど全ての練習を12の調でしないといけません!
私もやりました。大変だった事を思い出します。

「移動ド」「固定ド」「絶対音感」「相対音感」?

日本には、「絶対音感」(固定ド)を持っている人がスゴイ!というような絶対音感神話があります。

絶対音感というのは、適当にポンと弾いた音を、何の音か聞き取れる能力です。

私も、絶対音感を持っています。確かに、音大の受験には役に立ちました。
しかし、本当に音楽にとって重要なのは「相対音感」(移動ド)なのです。

なぜなら、もし一つの和音(コード)、例えばソシレフィを聞いた時に、それが絶対音感でどの音かわかるよりも、相対音感で「メジャーセブンの響きだ」とわかる方が音楽のしくみや本質を理解していると思いませんか?

また、先ほどの「ドレミの歌」のように、低くなろうが、高くなろうが同じメロディなのだから「ドーレミードミードーミー」でいいのではないでしょうか。
そう考えると、音楽は全てとてもシンプルで理解しやすくなります。

実は、クロマチックミュージックラボでは、ピアノのような「固定ド」楽器ではなく、「移動ド」楽器であるクロマトーンを使っています。
クロマトーンとはどういった楽器でしょう?

ムトウ音楽メソッドの「クロマトーン」

「クロマトーン」とは「ムトウ音楽メソッド」を基につくられた楽器です。

簡単に説明をすると、「ムトウ音楽メソッド」の根幹にあるのは、12の全ての調を平等に扱い、ピアノの黒鍵にあたる♯や♭も独立した1つの音であるということの基、白鍵・黒鍵の区別をなくした考え方です。

そして、その考えを楽器にしたものが「クロマトーン」です。

一見、パソコンのキーボードのように見えますが、鍵盤楽器です。
隣あった音は全音関係になっていて、斜めの音は半音関係になっています。

※全音音階鍵盤は「Wholetone Revolution」では6列、「CHROMATONE CT-312」では5列となっています。

クロマトーンで長音階を弾いてみましょう!

《ドレミ》は全音の並びなので、右隣に進んでいきます。
「ミ」「ファ」は半音なので、斜めに移動します。
《ファソラシ》も全音の並びなので右隣に進みます。
そして、「シ」「ド」も半音なので、斜めに移動します。
この繰り返しです。

この動きさえ覚えてしまえば、どの音から始めても、調が変わるだけで「長音階(ドレミファソラシド)」となります。
ピアノのように12の調を覚える必要がなく、1つの調を覚えるだけで12の調を弾けるなんて目から鱗ですよね!

これと同じように、メロディや伴奏やバリバリに難しいクラシックの曲であっても、同じ弾き方であれば、好きなところにずらすだけで移調が簡単にできるのです。
実は最初に説明した、長3度や短3度といった「音程」もクロマトーンだと簡単です。
「ド」と「ミ」長3度ですが、「レ」と「ファ」長3度??短3度??などというような混乱は起きません。※答え:「レ」と「ファ」は短3度

ピアノの場合

クロマトーンの場合

クロマトーンでは、音程の説明をする必要がないのです。
見たまますからね。

それでは、楽譜はどうでしょうか?

ムトウ音楽メソッドの「ムトウ記譜法」

一般的に知られている楽譜は「五線譜」だと思いますが、これまでのことをふまえて見てみると何か気づきませんか?

『あれ?五線譜も全音と半音で違うのに、同じ距離で記譜されてる???』

そうなのです!五線譜もピアノと同じようにハ長調を中心とした楽譜になっています。
ハ長調以外の曲になると、♯や♭が出てきて途端に難しく感じてしまいます。
そのため、五線譜を読むことを諦めてしまった方もいるのではないでしょうか。

ムトウ音楽メソッドの「ムトウ記譜法(ムト譜)」はそういった方でも解りやすい楽譜となっています。
1オクターブを3本の基線で表されているため、「五線譜」に対して「3線譜」ともいいます。
※漢字の「三線譜」と書いてしまうと、三味線用の楽譜を指してしまうので注意!!

解りやすい理由は、クロマトーン同様、音と音の距離が正確に記されているためです。
五線譜とムト譜を比べてみました。

また、下の図を見ると解りますが、五線譜は、音部記号や音の高さによっても全ての「ド」の場所が変わってきます。
全て「ド」だとは思えませんよね?
しかし、ムト譜では、実線上の音は全て「ド」。1種類だけです。

そして、大きな特徴の一つとして、ピアノでいう黒鍵の音(♯や♭)にも固定の場所があります。

半音階(クロマチックスケール)で記すとこうなります。

実は、カラオケ好きのみなさんは、ムト譜によく似たモノをすでに見ています。
カラオケの精密採点などで、上の方に「音程バー」が画面に表示されていますよね。

これは、音楽の知識が全くない方でも、見たまま音の動きがわかるようになっています。
1オクターブの音が12分割されていて、全ての音の場所があるのです。

つまり、「音程バー」が解れば、「ムト譜」も読めてしまう!というわけです。

さいごに

音程や調とは何か?また、移動ドや固定ドについて合点がいきましたでしょうか?
次回は、コードについての”基本の「キ」”を解説する予定です!
曲を作る上でも、理解する上でも、メロディの次に大事な要素ですね。

それでは、次回もお楽しみに♬