こんにちは!
Chromatic Music Lab.です♬

当ラボでは独自のメソッド「ムトウ音楽メソッド」をレッスンの中に取り入れており、メソッドを基に開発された楽譜「3線譜」も使用しております。
今回は、『3線譜』がどのくらい解りやすいかということを知ってもらいたい!ということで詳しくお話していきたいと思います。

 

1オクターブの中にある音名

まずは3線譜のお話に入る前に、音の種類には何種類の音名があるのかを確認しておきましょう。

下記、図1を見ればお分かりのように1オクターブの中にある12種類の音が全てです。

図1
123

では図2で音名を確認してみましょう。

図2doremi#

この12個の音は、一般的によく知られている白鍵7個(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)+黒鍵5個となるのですが、黒鍵には♯と♭の2つづつの名前がついています。
実は、このように♯や♭などの符号を加えることで、難しく感じたり、混乱してしまうのです。
そこで、ムトウ音楽メソッドでは♯や♭といった符号は一切使わずに、黒鍵それぞれに固有の音名をつけました。

図3
muto

「ド♯またはレ♭」=「ディ」
「レ♯またはミ♭」=「メ」
「ファ♯またはソ♭」=「フィ」
「ソ♯またはラ♭」=「ル」
「ラ♯またはシ♭」=「セ」

「ド・ディ・レ・メ・ミ・ファ・フィ・ソ・ル・ラ・セ・シ」
このように、1オクターブの中で使う音名はこの12個のみとなりました。

 

音と音の幅の関係

音と音の幅を音程といいます。
1オクターブの中にある、12音の隣り合った音同士の音程は半音です。
そして、半音半音の音程を全音といいます。

したがって「ド・ディ・レ・メ・ミ・ファ・フィ・ソ・ル・ラ・セ・シ」
は均等に半音づつの音程で並んでいます。

ということは、なじみが深い「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」は半音全音が入り交じっているということが分かるかと思います。
hanon_zenon

この「ミ・ファ」と「シ・ド」の半音を他の全音と同じ幅で認識していることが音楽の理解を難しくしている最大の問題点なのです。
実は、音と音の幅を正確に認識する事が、音楽にとって最も重要なことなのです。

 

3線譜の記譜法

「3線譜」は、1オクターブを実線で表し、1オクターブの中の12の音を均等に配列することによって、「音程を正確に表すことができる」ようになりました。覚えることは、12種類の記譜(絵柄)のみです。
これにより、初心者でも直感的に読譜ができます。

sp04

1オクターブ内の12の音の絵柄を覚えれば、どんな高低音でもかんたんに応用が可能です。

sp04-1

黒鍵も独立した一つの音として、記譜できるので♯や♭といった符号は一切使いません。

 

五線譜と3線譜

楽譜というとほとんどの方が「五線譜」を思い浮かべると思います。
しかし、この五線譜での記譜法は、「音程を正確に表すことができない」上に、音楽とは全く関係がないたくさんの符号が使われており、まずはそこを理解して覚えるところから始めなければなりません。
例えば、図2で述べたに加え、♯♯(ダブルシャープ)♭♭(ダブルフラット)、そして調によっては「ファ」を「ミ♯」と表したり、「シ」を「ド♭」と表すこともあります。
さらに、ト音記号ヘ音記号ハ音記号などの符号も使われています。
実は、この符号化には深い意味があったのです。

本来「楽譜」とは、録音機器の無い時代、唯一の音楽伝達手段で、音符によって符号化(暗号化)することが、当時の作曲家達の著作権を保護するために必要不可欠なものでした。
そして、その暗号の解読方法を知っているプレイヤー(演奏家)だけが演奏することができるというものだったのです。
楽譜の存在理由が、多様な音楽伝達手段のある現代とは全く違ったものだったという歴史を知れば、楽譜の解読が難しく混乱してしまうのは当然のこととご理解いただけるかと思います。

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」

それではまず、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」で、「五線譜」と「3線譜」を比べてみましょう。

五線譜

五線譜を見ると分かるように、例えば、「ミ・ファ」は半音、「ソ・ラ」は全音ですが、表記されている高さはどちらも同じ幅になっています。
音と音の高さは、全音が1に対して半音は1/2です。それなのに同じ高さで記譜されています。
これが「音程を正確に表すことができない」大きな原因の一つになっています。
さらに♯や♭を付加することで、より音程が不正確に表されることになります。

それでは、3線譜で表記するとどうなるでしょう?

3線譜
sansen_※ブルーの線は頭の中でイメージする線です。

一目で半音全音の違いも解りますし、明確に音程が表記されている事が分かると思います。

「オクターブの記譜」

それでは「ド」を7オクターブ表記した「五線譜」と「3線譜」を比べてみましょう。

五線譜
sansenfu1

五線譜は同じ「ド」でも高さが変わるだけで、符頭が線上や線間と異なる場所にあります。
また、ト音記号とヘ音記号など音部記号の違いでも、位置が変わってきます。
五線譜の場合、「ド」の位置を覚えるだけでもとても困難です。

3線譜
sansenfu

しかし、3線譜だと高さが変わっても、実線上の上にある符頭が全て「ド」の表記になります。
3線譜の左に表記されている数字が高さを表していますので、どの高さに変わっても同じ音であれば1オクターブ内の符頭の表記位置は同じで、1オクターブが顕在化しています。

「♯、♭」

五線譜には♯や♭などの符号がついています。
それによって同じフレーズが転調しただけでも表記の仕方が変わってしまい、一見全く違ったフレーズのようにさえ見えてしまいます。

転調した同じフレーズを「五線譜」で見てみましょう。

五線譜fig5-2

①と②は、同じフレーズですが、転調することによって♯や♭、♮までも付き、音符の見え方も変わってしまいます。

「3線譜」で表すとどうでしょう?

3線譜fig5

①と②は音符の見え方が変わらないので、同じフレーズだということが一目でわかります。
符頭がどの音を示しているのかも一目瞭然です。

 

ムトウ記譜法(3線譜)への招待

このように、3線譜は解りやすく、合理的な楽譜だということを知っていただけたのではないでしょうか。
「ムトウ音楽メソッド」は、考案者:大川ワタルが学生の頃考案したものですが、このメソッドに基づいた記譜法「3線譜」は、90年代に特許を出願し、2000年に入ってから世界数十カ国で特許を取得しました。
そして、現在ではクラシックの楽譜を中心に世界中で出版しております。

「3線譜」は音楽のジャンルは問わず、ピアノ管楽器弦楽器声楽など、その使用方法も問いません。こういった利点があらゆるジャンルの楽器の記譜に最適な方法として徐々に広がりをみせています。

下の動画は特許を取得する前1990年代後半に制作されたものになりますが、3線譜をとても分かりやすく説明していますので、ぜひご覧ください。
前半・後半に分かれております。

さいごに

世の中はスピードを上げてどんどん変化をしています。
もちろんそれは音楽でもいえることで、誰でもどこでもどんな音楽でも聴ける世の中ですから、音楽を志す人の可能性も広がってきています。
だからこそ、音楽を難しいものにしてしまわず、もっと簡単に楽しく学んでいくことが新しいものを生み出すきっかけになるのではないかなと思います。

ムトウ音楽メソッドや3線譜について、もっと詳しく知りたい方はこちら☆

ムトウ音楽メソッド
出版中の3線譜(宝音出版)